MDI発足記念 代表、副代表 対談

※所属、役職等は発足当時のものとなります。

道具担当から経営者への橋渡しの場に

南雲 30歳代、40歳代にとっての“道具担当から経営者への橋渡しの場”としてもMDIを機能させていきたい、と考えています。
 経営改革に従事する30歳代は、一回はBSCや経営品質賞、シックスシグマなどの道具の担当をなさった方が多いのではないでしょうか。こういった経験は、道具を通して組織全体を見回したり、問題の解決方法を知るとてもいい勉強になります。しかし、その後組織内で道具導入の専門家として安住してしまうと、道具を上手に導入することを自分のミッションとして捉え、道具導入の究極の目的である、経営高度化、企業風土改革、業績向上等という大前提から離れていってしまう心配が生じます。
 目的達成のために何をすべきか、という一段高い視点に立ち組織全体をみることが肝要で、私の認識ではそういった視点をもてる人が、将来的に本当の経営者や管理職に育っていくのです。MDIは、そういった経営者視点の訓練の場にしていきたいのです。

------ 30歳代、40歳代を核にした経営者視点の訓練の場とするのは、なぜですか。

小楠 私自身は、現場の第一線にいる40歳代ですが、業務課題をどうやって解決していけばいいのか、解決する方法として最もいい方法はなんだろう、と日々頭を悩ませています。
 先日、久しぶりに社内の研修に参加しました。この管理者向け研修では、「現場に戻ったらこういうことやっていかなきゃいけないな」という“気づき”はあっても、正直言って、あらためて“学ぶ”ことは少なかった。日々の仕事の悩みの回答に結び付くヒントは研修ではなく現場で苦労して苦労してようやく見つかるように思います。
 問題意識を持った人が集まるMDIでは、積極的に各々の悩みを聴いたり、あるいは自分の悩みを差支えない範囲でお互い出し合ったりしていきたいのです。組織が抱える問題というのは必ず共通点があるもので、他者の例を聞くことはとても参考になるはずなのです。こういったことは、次世代の経営を担っていく30歳代、40歳代の経営感覚を磨くことにつながってくると思います。

南雲 社内研修では、階層別研修や業務に必要な方法論を学ぶとか、経営哲学を学ぶといった内容があるようです。しかし、今まで組織内になかった、全く新しいものを創り出す方法を学ぶ、という昨今最も求められている内容に関する研修には、お目にかかれません。
 我々含めサラリーマンは、すでに“何かあること”が前提になっていて、あるものを変革したり直すことはあっても、ゼロから考えて目的にあったものを「創り出す」機会に出会うことは非常にまれです。特に、40歳代はその傾向が強い気がしてなりません。
 私たち40歳代はバブルな世代で、右肩上がりの時代も経験しています。あまり悩まずとも、“ここで頑張れば、今日より明日、今年より来年は絶対によくなっている”という状況でした。
 しかし、今の30歳代、20歳代は就職すること自体が大変だったこともあり、ステップアップのために転職するのは当然ですし、社会起業家になるとか、日系企業を経てから外資系企業に行くのでなく、初めから外資系企業に就職する人も多い。大学にしても国内にこだわらない。そうなってくると私たちより下の世代のほうが「なんか創らなきゃ」、「自分でやらなきゃ」という意識に、馴染みがあったり、長けている可能性があるのです。
 40歳代の「気づき」の出どころを考えると、多くが受け売りからスタートしていることに気づきます。コンサルティング会社の人気講師が担当した社内研修のワークショップが役に立ちそうだ、と思って徹底的に研究すると、社内で指導する立場に回れるようになっていたりする。
 一方、サラリーマンとしてそれなりの月日を重ねた私がSNSなどで若い企業家たちのやりとりをみると、未熟なことで一喜一憂しているな、と感じることもあるのです。しかし、当事者たちは、新しいものを創り出そうともがいている。その点は私も多いに見習いたいのです。
 もしかすると日本の40歳代はリスクをとってゼロから作りだす、という覚悟が欠落しているかもしれない。むしろ30歳代の人たちのほうがリスクをとって進んでいこうという覚悟がしっかりしている。
 だからといって悲観的になる必要はないのでしょうが、バブル期入社の40歳代の一人として、MDIを仲間たちとともにゼロから物を作りだす共創の場にできたら、どんなに頼もしいか、と楽しみにしているのです。だからこそ、どうすれば、最適解としての共創の場が創り出せるかについて、ゼロからの発想で、いろいろ考えている訳です。
 ゼロベースからものを生みだす思考回路を作るには、自分のもっている常識を取り払って、「こんなことも、あんなこともできるんだよ」という自由な発想力を養う必要がある。ゼロからものを作れる人と話すことで、そのことを苦手とする自分の発想の根源にあるものが何であるかが分かってくる。それは、現状を突破する大きな鍵を握るはずです。
 20歳代が入ってきたり、日本の企業システムを飛び出した人、社会起業家として活動している人、何かのプロの人が参加することは「自分で創る能力を持たないと話にならない」という気づきを生む。それが、さまざまな組織を活性化する原動力になるし、そういう力がないと日本の組織は世界のなかで戦っていけないのは、間違いない気がします。

小楠 MDIに参加することによって、たくさんの経営手法のスキルが磨かれ、人が育ち、廻り回ってそれぞれの組織の経営向上につながるというプラスのスパイラルを生み出す。それによって日本の多くの組織が元気になっていけばいいですよね。

マネジメント・デザイン・インスティテュート 会員登録はこちら(登録無料) 会員特典:セミナー受講・最新ニュースをお届け

バランス スコアカード研究会(BSC研究会)